全国の小学5年生と中学2年生を対象に50メートル走など8つの項目で体力や運動能力を調べる今年度の国の調査で、「体力合計点」の全国平均は小中学生の男女ともに前の年度を上回りました。一方、運動時間が減少傾向にあることなどから、スポーツ庁は各地域でスポーツに親しめる環境作りに力を入れていくことにしています。

国は平成20年度から、全国の小学5年生と中学2年生を対象に50メートル走やボール投げ、反復横とびなど8つの項目で体力や運動能力を調べていて、今年度はおよそ182万人が対象となりました。
この中で、8つの項目の成績を80点満点で数値化した「体力合計点」の全国平均は
▽小学生の男子で53ポイント、女子で54ポイント
▽中学生の男子で42.1ポイント、女子で47.5ポイントとなり
いずれも前の年度を上回りました。
また、生活習慣に関する調査では「朝食を毎日食べる」割合や、睡眠時間が「8時間以上」の割合も、小中学生の男女ともに増加傾向にあったということです。

こうした結果について、調査結果の分析に関わった中京大学の中野貴博教授は「全体としては前向きな結果が出ている。運動時間を確保するためには生活が整わないといけないと、昔から言われていたことだ。ここからもいい方向に向かってくれると思う」と評価していました。
一方で、新型コロナの感染拡大前と比べると「体力合計点」は中学生の男子を除いて依然として低い水準となっていて、1週間の総運動時間も420分以上の割合が年々減少傾向にあるということです。
こうした点を踏まえてスポーツ庁は、スポーツイベントや施設の充実などに使えるスポーツ振興くじの助成の対象を今後、全市区町村に広げることや、体育の授業へのアスリートの派遣充実などの取り組みを進め、各地域で運動の楽しさを伝え、スポーツの機会を確保できる環境作りに力を入れることにしています。