クライアントに「NO」と言えない上司にウンザリ。
休日や深夜作業は当たり前
2021年の新語・流行語大賞の候補が発表され、「親ガチャ」という言葉がノミネート。子どもは親を選べず、ガチャガチャ(カプセルトイ自動販売機)のように運要素が強いというものだ。たいていは親のせいで人生が困難に陥っているという文脈で使われるが、そこから派生して「上司ガチャ」までネット上には登場している。 仕事において、成長できるのかどうか。それは、自分自身はもちろん、上司にかかっているとも言えるだろう。
仕事は部下に丸投げの上司
現在、IT企業で働いており、主にシステム設計に携わっているという村瀬奈々子さん(仮名・30代)。3年前に異動を命じられたときに出会った、上司Bについて教えてくれた。 「部署編成により多くの社員が異動を命じられました。私が所属する部署に課長職として着任したのがBです」 悲劇は、Bが着任して間もない頃に起こった。 「クライアントとの打ち合わせで『これ、できますか?』と聞かれたBは、ほぼ間髪入れずに『できます』と回答しました。最初は、判断力がある上司で良かったと、ワクワクしていたことを覚えています」 しかし、時が経つにつれて上司の本性が露わになる。
クライアントに「NO」と言えないだけ
「この人は何も考えていないことが分かったんです。単純にクライアントに対して“NO”が言えないだけ。クライアントの要望をすべて受け入れる“トンデモ上司”でした」 クライアントの前では満面の笑みでペコペコし、チーム会議では表情が豹変するという。 「鬼のような顔で私たちに作業指示を出します。指示にかんしても具体的なものではなく、どうにかしろという感じでした。当然ですが、リソース(作業ができる人数)に限りがあるので、無理なスケジュールで仕事することが常態化していました」 残業や休日出勤して作業を消化しなければならないような状態が続いた。会社自体は、昨今の働き方改革の推進により、残業や休日を利用して働くことを禁止していたにもかかわらず……。 「帰りの電車や休日中に、いかにして自分のタスクをこなしていくかというタイムスケジュールを頭の中で作り、月曜の始業開始と同時に無我夢中で作業をするという習慣が身につきました」
無理難題をこなした結果、成長につながった
現在もBの下で働いている村瀬さん。おかげで、作業スケジュールを組み立てるスキルや作業スピードにかんしては、どんな人にも負けないと自負している。 「私は『上司ガチャ』に失敗したのでしょうか?」 “ITあるある”のひとつかもしれないが、結果的に見れば、上司の無理難題が成長につながった。とはいえ「ほら、やれるじゃん」と、さらに業務量が増えないことを祈る……。
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