「加工された食品」が体によくないなら、合成肉はどうなる?
加工食品について真剣に考えてみた
わたしたちがわたしたちでいられるのは、加工食品のおかげだ。祖先が肉の調理法やパンのつくりかた、ビールの醸造法を知ったおかげで、いまわたしたちは存在しているのである。
牛肉そっくりの「合成肉」でハンバーガーができるまで
加工食品が生まれれたおかげで、人類の脳容積は増大し、消化器官は変化した。だが、食品と言えばオーガニックや地元産が喜ばれ、平飼いや放し飼いが歓迎され、多くの人が「自分の食べる鶏の名前を知りたい」と考える。そんな昨今において、「食品」に「加工」がついたこの言葉は、人々に不安を抱かせるようになった。
血までしたたる「合成肉」
“ピュア”な食品がよしとされる風潮があるなか、世の中では植物由来の肉を製造しようという動きが現れ、これでもかというほど高度に加工された牛肉の代替品が生まれた。
例えば、インポッシブル・バーガー[編註:インポッシブル・フーズが開発した合成肉を使ったハンバーガー]は牛ひき肉の味や香り、食感を再現すべく研究を重ねて開発されたもので、本物の肉のように血までしたたる代物だ。ケンタッキーフライドチキンも、米国の一部店舗で植物由来の肉を使ったチキンナゲットやウィングを試験販売している。
だが、チポトレ(Chipotle)など一部のフードチェーンは、合成肉は加工されすぎていて自分のところの繊細な料理には向かないとして批判的だ。(とはいえ、これはチポトレの意見だ。チポトレで提供される料理のカロリーは、1人前で1,000キロカロリー以上。おまけに大量のナトリウムと飽和脂肪酸も含まれている)。
だがそろそろ、加工食品についてまじめに考えてみよう。
第一に、加工した食品は必ずしも体に悪いわけではない。現に世界中の人々が、必要な栄養素をある種の加工食品からとっているのだから。第二に、食品を加工すると加工前より日持ちするようになるので、食品の無駄を減らすことができる。第三に、耕作可能な土地が限られている地球で、この先も増え続ける人口に食料を供給するためには、特にタンパク質について新たな食糧源を開発する必要がある。
リンク:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191001-00010002-wired-sctch
[単語]
1.祖先:家系の初代。家系の先代以前の人々。
2.醸造:発酵作用を応用して、酒類・醤油・味噌などを製造すること。
3.容積:容器の中に満たしうる分量。容量。立体によって占められる空間の大きさ。体積。
4.平飼い:地鶏などの飼育で、鶏が自由に地面を歩き回れるようにした飼い方。
5.昨今:きのうきょう。きょうこのごろ。ちかごろ。
6.食糧:食用とする物。食物。糧食。特に、米・麦などの主食物をさす。