塩分の摂取量が多い人ほど肥満になりやすい
1日当たりの塩分の摂取量が増えるにつれて、BMI(体格指数)(*1)の値が高くなり、「過体重」または「肥満」になるリスクも上昇することが、日本を含む4カ国の約4700人を対象とした研究で分かりました。
*1 BMI=体重(kg)÷〔身長(m)×身長(m)〕 世界保健機関(WHO)の基準では、BMI 25以上30未満が「過体重」、30以上が「肥満」。日本肥満学会の基準では、BMI 25以上が「肥満」とされている。
●約4700人の塩分摂取量を信頼性の高い検査で測定
これまでに行われた研究で、塩分摂取量が多い人は、血圧が上昇し、心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞など)のリスクも上昇する可能性が高いことが分かっていました。今回、中国の西安交通大学のLong Zhou氏らは、日本、中国、英国、米国の40~59歳の男女を対象として、塩分摂取量とBMIの関係を検討することにしました。
対象にしたのは、栄養と血圧に関する国際共同研究である「INTERMAPスタディ」に参加した、日本、中国、英国、米国の成人男女です。この研究では、参加者に24時間蓄尿検査を2回行って、塩分摂取量を推定していました。24時間蓄尿検査は、1回だけ採取した尿に含まれていた塩分量に基づいて塩分の摂取量を推定する方法や、自己申告された食事の内容に基づいて摂取量を計算する方法よりも、より正確な塩分摂取量が分かる、信頼性が高い検査です。
分析の対象となったのは、INTERMAPスタディ参加者のうち、日本人1145人、中国人839人、英国人501人、米国人2195人の計4680人です。男女比はほぼ1対1で、平均年齢は49.2歳でした。これらの人々のうち、BMIが25以上(過体重または肥満)の人は、男性に多く、年齢は高めで、摂取カロリーは多く、運動量が少ない人の割合が高くなっていました。また、どの国でも、過体重/肥満者の塩分摂取量は、そうではない人に比べ多くなっていました。
各国の参加者の1日当たりの塩分摂取量の平均は、日本が11.6g、中国は13.3g、英国は8.5g、米国は9.5gでした。BMIの平均は、日本が23.4、中国が23.1、英国が27.5、米国が28.9でした。各国の参加者に占める過体重/肥満者の割合は、日本は26.7%、中国は25.5%、英国は69.7%、米国は71.8%でした。
1. 摂取 : 取り入れて自分のものにすること。
2. 体格指数 : 体重(キログラム)を身長(メートル)で二度割った数値。
3. 蓄尿 : 尿を蓄えること。
4. 脳卒中 : 脳動脈の障害により急激に意識を失って倒れ、運動・言語などの障害が現れる疾患の総称。
5. 心筋梗塞 : 心臓の冠状動脈の、血栓などによる閉塞、急激な血流の減少により、酸素と栄養の供給が止まり、心筋が壊死 (えし) した病態。激しい狭心痛、ショック状態などが起こる。