「地球の肺」に最悪危機=アマゾン熱帯雨林で大火災-ブラジル
【サンパウロ時事】世界の原生林の3分の1を占め「地球の肺」と称されるアマゾン熱帯雨林が、続発する火災で過去最悪とも言われる危機にさらされている。
アマゾンの開墾・開発に前向きなブラジルのボルソナロ政権の対応は後手に回っており、環境NGOのみならず、国際社会からの批判が高まっている。地元の環境NGO「IPAM」などによると、今年1月から8月半ばまでのアマゾンの火災は、過去3年平均の6割増の3万2728件。乾期に当たり、農地や鉱山を開くため人為的に起こされた疑いがあるものも多い。ボルソナロ大統領は当初「私や政府への反発を招こうとするNGO関係者の仕業とみられる」と主張。火災は政府の支援打ち切りで資金難に陥るNGOによる「放火」と決め付け、予算不足などを理由に対応に後ろ向きな姿勢を見せた。しかし、かねて同氏の環境保護軽視に不信感を抱いていた欧州諸国は厳しく反応し、一気に国際問題に発展した。フランスやドイツなどは「私たちの家が燃えている」(マクロン仏大統領)と憂慮。マクロン氏はフランスでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)でアマゾンの火災を議題にする方針を表明した。欧州連合(EU)内では、6月に妥結した南米南部共同市場(メルコスル)との自由貿易協定(FTA)の批准阻止や、ブラジル産品の禁輸を求める声まで上がり始めた。「盟友」トランプ米大統領からも支援の申し出を受けるなど、予想外の事態に慌てたボルソナロ氏は23日、火災の背景に「異常な乾燥」があると方向転換。「国民には生活向上の機会を与えなければならないが、環境への犯罪は許されない」として、軍を投入して消火と焼き畑などの防止に当たると宣言した。ただ、広大なアマゾンで軍に消火活動をさせても、効果があるかは不明。鎮火には国際社会の人的・物的支援が必要な情勢となっている。
リンク:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190825-00000011-jij-int
[単語]
1.さらされる:覆ったり保護したりせず、当るままにしておく。(好ましくない事柄について言う。)
2.開墾(かいこん):山野を切り開いて農耕できる田畑にすること。
3.乾期(かんき):一年のうちで、雨の少ない期間。
4.憂慮(ゆうりょ):心配すること。思いわずらうこと。
5.表明(ひょうめい):自分の考え・決意などを、はっきりあらわし示すこと。
6.妥結(だけつ):利害の対立する二者が、同意に達して約束を結ぶに至ること。双方が互いに折れ合って、話がまとまること。
7.批准(ひじゅん):全権委員が署名して内容の確定した条約を、条約締結権をもつ国家機関が確認し、これに同意を与えること。
8.阻止(そし):邪魔をして、相手のしたいようにさせないこと。妨げること。
9.禁輸(きんゆ):輸出・輸入を禁止すること。
10.盟友(めいゆう):かたい約束を結んだ友。同志。
11:慌てる(あわてる): ひどく急いで事をする。
12.鎮火(ちんか):火が消えること。火事を消しとめること。