コンビニ前になぜ灰皿?「たばこの煙迷惑」の声も 愛煙家集まり各店対応に苦悩
コンビニエンスストア前にある灰皿の周囲でたばこを吸う人が多く、煙で迷惑している-。そんな声が、京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に届いた。オフィス街などのコンビニでは、どこからともなく集まってきた愛煙家が一服する姿がよく見られる。一方、国の受動喫煙対策が進む中、灰皿を撤去すべきとの意見は強まっている。コンビニが灰皿を置く理由や撤去に向けた課題について、京都市中心部の店に取材した。
「ほかに吸える所がない」の声も
中京区で「路上喫煙等禁止区域」になっている御池通。あるコンビニでは、入り口から少し離れた店の軒下に灰皿を置き、喫煙場所が線や鎖で仕切られていた。約1・5メートル四方の狭いスペースで、複数人がたばこを吸いながらスマホを見入っている。「指定場所以外での喫煙はご遠慮ください。守られない場合一時灰皿の撤去をいたします」と記した注意書きも張ってあるが、風向きによっては漂う煙が気になる。
店のマネジャーに聞くと、「現状が良いとは思いませんが…」と困り顔だ。同店では煙を嫌う人からの苦情を受け、3年ほど前に灰皿を撤去したことがある。だが、空き缶を灰皿代わりにして店先で吸ったり、ごみ箱に火が消えていない吸い殻を捨てたりする客がいたため、やむなく現在の形にしたという。「過去には夜だけ灰皿を撤去するなど試行錯誤している。でも、灰皿がないとたばこのポイ捨てが増えて近隣から苦情が出る」と明かす。
近くの別のコンビニでは、煙が店内に入るとの声を受け、2年ほど前に灰皿を撤去した。本部からも置かないよう指導を受けているという。オーナーの男性は「店の敷地内で吸うことを禁止しているわけではないので、結局は路上や溝などに捨てる人が増える。客から『どこで吸えばいいのか』との相談もある」と打ち明ける。
そもそもなぜコンビニ前の灰皿があるのか。多くの店は「客が店内に入る前にたばこを消すため」と説明する。だが愛煙家から見れば、「灰皿=喫煙場所」ととらえるのも無理はないだろう。
一方、「たばこを販売しているので、灰皿を置いている」と話す店もある。オフィスでは禁煙が普通になり、屋外でも路上喫煙を禁止する条例が広がっている。「ほかに吸える所がない」として、結果的に灰皿のあるコンビニ前に愛煙家が集まる構図が垣間見える。
喫煙スペースの整備に苦悩するコンビニのマネジャーは、「(愛煙家と嫌煙家)双方の意見が届く」とした上で、「京都市が責任を持って御池通に喫煙スペースを設けてほしい」と訴える。
京都新聞
リンク:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190220-00010000-kyt-life
【単語】
1. コンビニ : コンビニエンスストアの略称。
(convenience store)年中無休で長時間の営業を行い、小規模な店舗において主に食品、日用雑貨類など多数の品種を扱う小売店である。
2. 灰皿 : 主にタバコを喫煙する際に出た灰を入れるためのものである。
3. たばこ : ナス科タバコ属の栽培種の葉を嗜好品に加工した製品である。
4. 迷惑 : ある行為がもとで、他の人が不利益を受けたり、不快を感じたりすること。また、そのさま。
5. 苦悩 : あれこれ苦しみ悩むこと。
6. 喫煙 : タバコの煙を吸い込む行為を指す。
7. 撤去 : 建造物や施設などを取り去ること。取り払うこと。
8. 苦情 : 被害を受けたり、不公平な扱いをされたり、迷惑を受けたりしたことに対する、不満・不快な気持ち。また、それを述べた言葉。
9. 試行錯誤 : 種々の方法を繰り返し試みて失敗を重ねながら解決方法を追求すること。
10. ポイ捨て : ごみの不適切な処理方法の一つで、対象物が小さい場合の俗称である。